タイ現地採用の営業は何をする?機械商社で働く私の仕事内容と一日

「タイで働いてみたいけれど、現地採用の営業って何をするのだろう」「営業経験がなくても、仕事についていけるのかな」。求人を見ながら、そんな疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。

私自身、タイで日本人が仕事を探すとき、営業職は候補に入りやすい仕事の一つだと感じています。ただ、営業といっても、扱う商品やお客様によって働き方は変わります。仕事内容に「顧客訪問」「新規開拓」と書いてあっても、それだけでは一日の様子までは想像しにくいですよね。

先に結論をお伝えすると、私の営業の仕事は、工場を訪問して機械を紹介することと、販売に関わる人たちの間で調整することの積み重ねです。お客様と話す時間だけでなく、メールへの返信や社内での確認、納品までのフォローにも多くの時間を使っています。

今回は、タイの機械商社で日本人営業として働く私が、普段どんな仕事をしているのかをご紹介します。あくまで私の勤務先での経験ですが、タイで働く姿をイメージする参考になればうれしいです。

タイの機械商社で働く私の仕事内容

タイにある工場へ、製造現場で使う機械を販売しています

私は現在、タイにある機械商社で働いています。販売しているのは、工場の製造現場で使われる機械や工具などです。

タイには日系企業の工場も多く、私は主に、そうした工場で働く日本人のお客様を訪問しています。会社や製品を紹介しながら、お客様の現場で必要としているものや、困っていることがないかを伺う仕事です。

私の会社では、新規のお客様を担当する営業と、既存のお客様を担当する営業を分けていません。そのため、初めて訪問する会社への営業も、すでに取引のあるお客様へのフォローも行います。

新規のお客様には会社紹介から、既存のお客様には状況の確認から

初めてのお客様を訪問するときは、まず私の会社が何をしている会社なのか、どんな製品を扱っているのかをご紹介します。その中で興味を持っていただけたものがあれば、具体的な用途や条件を確認し、見積もりへと進みます。

その後は、製品についての質問に回答したり、価格や納期を調整したりして、ご注文をいただければ発注・納品へと進む流れです。もちろん、会社や製品を紹介しただけで、すぐに注文につながるとは限りません。

一方、すでに取引のあるお客様には、最近の仕事の状況や、購入いただいた製品の使用状況などを伺います。新しくご紹介できる製品があればお話しし、次の相談や注文につながるように動いています。

見積書の作成や受注後の発注、納品管理などは、担当するタイ人スタッフと連携して進めます。私がすべてを一人で処理するわけではありませんが、お客様との窓口として、問い合わせから納品まで一通り関わる立場です。

営業以外の仕事も、意外とたくさんあります

お客様への営業活動以外にも、機械を製造・販売している取引先とのやり取りや、社内のタイ人営業スタッフの営業成績の確認などをしています。

ほかにも、新しいスタッフの採用面談、オンラインマーケティング用の資料作成、本社への営業報告、他支社で日本語のサポートが必要になったときのオンライン対応、展示会の出展準備や取りまとめなどがあります。

こうして書き出してみると、営業という肩書きではありますが、いろいろなことを並行して行っていますね(笑)。人手が必要なところに関わることも多く、私の場合は、お客様を訪問するだけで一週間が終わるわけではありません。

機械商社で働く私の一日|内勤の日

一日の過ごし方は、オフィスで仕事をする日と、外回りをする日で大きく変わります。まずは、内勤の日の流れをご紹介します。

8時ごろに出社し、始業前にゆっくり準備

会社の始業は9時ですが、私は普段、8時ごろに到着するようにしています。自分で車を運転して通勤し、途中のカフェやコンビニでコーヒーや軽食を買うこともあります。

到着してからの1時間は、買ってきたものをいただきながら、メールのチェックや、その日にやるべきことの確認をしています。経費の精算や、同僚から上がってきたレポートの確認も、この時間に進めることが多いです。

これは会社から求められている早出ではなく、私自身の習慣です。人が少ない時間に、誰にも邪魔されず、のんびり仕事の準備をするのが気に入っています。

9時になっても特に朝礼はありません。私の場合は8時から少しずつ作業を始めているので、気づけばそのまま始業時間を迎えている感覚です。

午前も午後も、お客様対応と社内の仕事を進めます

午前中は、お客様への訪問アポイントを取ったり、前日に訪問したお客様へフォローのメールを送ったり、いただいた問い合わせに返信したりします。

営業以外の仕事が入る日もあります。スタッフ候補者との面談、マーケティング用の資料作成、上司へ提出する売上報告書の作成、収支の確認など、その時々で優先順位をつけながら進めています。

12時からは1時間のお昼休みです。私のオフィスはバンコクの中心部ではないため、昼食は自宅から持参するか、朝のうちにコンビニや屋台で買っておくことが多いです。

13時からは、午前中と同じように仕事を進めます。問い合わせへの対応や確認事項を一つずつ片づけていると、あっという間に数時間が過ぎています。やることは、なかなかなくなりません(笑)。

17時に終業し、基本的にオフィスには残りません

内勤の日は、基本的に17時で仕事を切り上げます。私の会社では営業職に残業代が出ないこともあり、オフィスに残って仕事をする習慣はありません。

帰宅時間の渋滞も気になるので、退勤後は早めに車に乗ります。終業から5分後には運転していることもあるくらいです。

ただ、外回りの日は帰宅後にパソコンで作業することもあります。内勤の日の退勤時間と、外回りを含めた働き方は、分けて考えたほうが実態に近いと思います。

外回りの日はどう動く?工場訪問のスケジュール

外回りの日は、原則として最低2社を訪問するように言われています。普段は、訪問先の場所や移動時間を見ながら、3〜4社を回る予定を組むことが多いです。

私の会社では直行直帰が認められているため、外回りの日はオフィスに寄らず、自宅から車でお客様の工場へ向かいます。近いエリアで4社を訪問できる日なら、次のような流れです。

  • 10時:1社目のお客様を訪問
  • 11時ごろ:訪問を終え、移動や昼食
  • 13時:2社目のお客様を訪問
  • 14時30分:3社目のお客様を訪問
  • 16時:4社目のお客様を訪問
  • 17時ごろ:訪問を終えて帰路へ

お客様も朝から仕事をされていますので、最初の訪問は10時ごろになることが多いです。なお、17時に訪問が終わる場合、そこから帰宅するまでの移動時間もかかります。

このように4社回れるのは、訪問先が比較的近いエリアにまとまっている場合です。私の担当範囲は北はチェンマイ、南はラヨーンまであるため、遠方へ行く日は訪問数が少なくなることもあります。場合によっては1泊して、周辺のお客様をまとめて訪問します。

訪問の合間に時間があればパソコンで作業することもありますが、移動と商談が続く日は、まとまった時間を取りにくいものです。そのため、メールの返信や訪問後のフォローは、帰宅後や翌日に進めることもあります。

外回りでいただいた相談を、内勤の日に確認して次の提案につなげる。私の仕事は、この繰り返しで進んでいます。

客先訪問では何を話す?商品紹介だけではない営業の仕事

初めての訪問では、会社と製品を知ってもらうところから

初めてお会いするお客様には、まず会社の紹介と、取り扱っている製品の紹介をします。どんな機械や工具を扱い、どのような場面でお役に立てるのかをお伝えするところから始まります。

ただ、こちらから製品を紹介するだけでは、お客様に必要なものかどうかは分かりません。お話を伺いながら、興味を持っていただける製品や、相談につながりそうなことを探していきます。

同じ工場向けの営業でも、お客様によって使っている機械や必要なものは異なります。そのため、会社案内やカタログがあっても、毎回まったく同じ話をするわけではありません。

2回目以降は、製品の使用状況や今後の予定を伺います

すでに取引のあるお客様には、購入いただいた製品の使用状況を伺ったり、最近のお仕事の様子を聞いたりします。

また、試用機を持参して、実際に動かしながら使用感を見ていただくこともあります。機械や工具は、カタログを見るだけでは分からない部分もあるので、実物を確認していただく機会も大切です。

今後の予定を伺うことも、次の提案を考えるきっかけになります。訪問したその日に注文をいただかなくても、お客様の状況を知ることが、その後の仕事につながっていきます。

雑談も大切。ただ、私も最初は苦手でした

仕事の話以外に、お互いを知るための雑談もします。私としては、お客様に少しでも話しやすいと感じてもらい、何かあったときに相談していただける関係をつくりたいと思っています。

とはいえ、もともと初対面の方との雑談が得意だったわけではありません。営業を始めたころは、何を話せばいいのか分からず、この部分が一番大変だったように感じます(笑)。

それでも、訪問を重ねるうちに少しずつ慣れてきました。私の経験では、最初から会話が得意でなくても、仕事を続ける中で慣れていける部分はあると思います。

タイの営業は車移動が多い?運転と訪問スケジュールの実際

私の営業先は工場なので、移動は基本的に車です。訪問する工場はバンコク中心部から離れた場所にあることが多く、電車だけで回るのは難しいためです。

私は自分で運転していますが、営業をしている友人の中には、会社のドライバーが運転してくれる方もいます。これは会社によって異なるので、運転が必要かどうかは入社前に確認しておきたいポイントです。

移動時間も訪問先によって変わります。私の場合、バンコク近郊なら片道1時間程度、ラヨーンなどの遠方では3時間程度を見込むことがあります。ただし、出発地や交通状況によって大きく変わるため、あくまで普段の目安です。

遠方へ行くときは、渋滞を考えて、さらに30分〜1時間ほど余裕を持って出発するようにしています。早く着きそうなら、途中のカフェで仕事をしながら時間を調整します。

一日の予定を立てるときも、商談時間だけではなく、移動時間を含めて考える必要があります。たくさん訪問したくても、無理に予定を詰めると次のお客様との約束に影響するため、訪問先の組み合わせは大切です。

英語はどのくらい使う?日本語だけで働けるのか

お客様との商談は日本語が中心です

私のお客様は基本的に日本人なので、普段の商談は日本語で行っています。そのため、日本人のお客様とお話しする場面では、日本語で対応できれば基本的には問題ありません。

ただし、お客様の会社のタイ人スタッフが同席することもあります。通訳の方がいない場合は、英語で説明したり、質問に答えたりする必要があります。

社内では英語でのコミュニケーションが必要です

私の会社はスタッフの9割以上がタイ人で、日本語の通訳もいません。そのため、社内で仕事を進める際は、英語でのコミュニケーションが必要です。

お客様から依頼されたことを担当スタッフへ伝えたり、発注や納品の状況を確認したりするために、会話とメールの両方を使います。

私の働き方では、お客様とのやり取りが日本語中心でも、日本語だけで仕事全体が完結するわけではありません。少なくとも、業務に必要なことを伝え、相手の説明を理解し、メールで確認できる英語力は必要だと感じています。

必要な言語や水準は会社によって違うので、求人を見るときは「日本人顧客を担当する」という説明だけでなく、社内では何語を使うのかも確認すると、働く姿を想像しやすいと思います。

社内調整も大切な仕事|日本のメーカーとタイの現場をつなぐ

営業というと、外回りをして注文をいただく場面を思い浮かべるかもしれません。ただ、私が働く中で感じるのは、受注の前後にある対応も同じくらい大切だということです。

見積書や必要書類を期限までに提出すること、注文いただいた製品を予定どおりに納品すること、製品にトラブルがあれば対応すること。こうした仕事にも多くの時間を使います。

そのため、お客様を訪問する時間に加えて、オフィスで確認や調整を進める時間も欠かせません。外で相談をいただいても、その後の対応が進まなければ、お客様の役には立てないからです。

また、製品について詳しい確認やアフターサポートが必要になれば、メーカーの協力が必要です。発注や納品を進める際には、社内のタイ人スタッフにも支えてもらっています。

お客様の前に出ているのは私でも、製品を届ける仕事は私一人では回りません。関わる人に必要な情報を伝え、同じ方向を向いて進められるようにすることも、営業として大切な役割だと感じています。

タイ現地採用の営業に向いているのはどんな人?

私のような会社の働き方であれば、次のような方は相性がよいのではないかと思います。

  • 車の運転や、長時間の移動が苦にならない方
  • タイ人をはじめ、異なる国の人と協力して仕事を進めたい方
  • 初対面の方と話すことに取り組める方
  • 新しい製品知識や仕事の進め方を学ぶことに抵抗がない方
  • 営業活動に加えて、幅広い業務に関わることを楽しめる方

もちろん、最初からすべてが得意である必要はないと思います。私もタイに来てから営業を始め、初対面の方との会話など、仕事をしながら慣れてきた部分があります。

一方で、営業職という名前だけで仕事内容を判断すると、入社後に想像との違いを感じるかもしれません。担当するお客様、運転の有無、社内で使う言語、営業以外の担当業務などを確認して、自分に合う働き方かを考えることが大切です。

まとめ|タイの営業の仕事は、売ることと調整することの積み重ね

私がタイの機械商社で行っている営業は、お客様を訪問して製品を紹介し、その後の見積もりや発注、納品、サポートまで、関係する人たちと協力しながら進める仕事です。

私はタイに来てから営業を始めました。最初は右も左も分かりませんでしたが、日本人上司やタイ人上司の仕事を見て、まねをしながら、少しずつ自分でも対応できることが増えてきました。

お客様へ製品を届けるまでには、社内のタイ人スタッフや日本のメーカーなど、多くの方の協力があります。そのことを忘れず、支えてくれる方への感謝を持って仕事をしたいと思っています。

海外で働くといっても、相手の話を聞き、約束を守り、周りと協力するという根本は、日本で働く場合と共通していると思います。ただ、言葉や文化、仕事の進め方が異なる中では、自分の想定どおりに進まないこともあります。

そんなときに、どう軌道修正するか、次はどう伝えればよいかを考えていく。その繰り返しも、私にとってはタイで働く日常の一部です。

これからタイでの仕事を考えている方にとって、今回の体験談が「現地採用の営業として働く自分」を想像するきっかけになればうれしいです。

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