タイ現地採用として働いてみたいけれど、面接ではどんなことを聞かれるのだろう。
海外就職が初めての方であれば、このような不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
私自身、タイでの就職活動を経験し、その後転職活動も経験しました。現在はタイ現地採用として7年目になります。
結論から言うと、タイ現地採用の面接では「なぜタイなのか」「長く働いてくれるのか」「異文化環境に適応できるのか」を見られることが非常に多いです。
もちろん職種によって質問内容は異なりますが、聞かれる内容にはある程度共通点があります。
今回は私自身が実際に受けた面接の経験をもとに、タイ現地採用の面接でよく聞かれる質問についてご紹介します。
タイ現地採用の面接は日本とどう違う?
正直なところ、私は日本で転職活動をした経験がありません。
そのため厳密な比較はできませんが、タイで受けた面接は会社ごとの個性が強かった印象があります。
日本の面接はある程度決まった質問が多いと聞きますが、タイ現地採用の場合は会社が求めているスキルや経験によって面接内容がかなり変わります。
私が最初に入社したカスタマーサポート職では、一次面接で業界用語の英単語を知っているか、日本語の敬語を正しく使えるか、タイピング速度はどの程度かなど、実務に直結する内容を確認されました。
その後の二次面接では英語力チェックがあり、志望動機や経歴について英語で質問を受けました。
一方で現在の営業職へ転職した際は、一次面接が日本人とのオンライン面談、二次面接が日本人とタイ人による対面面接でした。
特に二次面接はほぼ英語で進行され、これまで何をしてきたのか、入社後に何をしたいのか、営業未経験なのに本当に挑戦する意思があるのかという点を深く聞かれました。
このように、タイ現地採用の面接は「応募者が実際に仕事をこなせるか」をかなり具体的に確認する傾向があるように感じます。
なぜタイで働きたいのですか?
これはおそらく最も高い確率で聞かれる質問です。
私自身、最初の就職活動でも転職活動でも聞かれました。
面接を受けるたびに思うのですが、この質問に完璧な正解はないと思います。
私が初めてタイで就職活動をした際は、学生時代に何度もタイへ来ており、インターンシップも経験していたため、次のように答えました。
「タイでの生活を通じて住みやすさを実感し、海外移住という夢をタイで実現したいと思ったためです。」
非常にありきたりな回答だったと思います。
その後、転職活動では別の聞かれ方をしました。
「すでにタイに3年住んでいるのに、なぜ今後もタイに住みたいのですか?」
この時は、タイでの生活が快適であり、日本へ戻る理由が特にないため、今後もタイで生活していきたいと回答しました。
今振り返ると、かなり無難な回答だったと思います。
ただ、面接官が知りたいのは細かい理由よりも、「この人は本当にタイで働き続けるつもりがあるのか」という部分です。
そのため、タイが好きな理由やタイで実現したいことを、自分の言葉で話せると印象に残りやすいと思います。
タイに来る理由をどう説明するべきか
「なぜ他の国ではなくタイなのですか?」
これも比較的よく聞かれる質問です。
私が転職エージェントから何度も言われたのは、「すぐに日本へ帰りそうな印象を与えないこと」でした。
企業は採用に多くのコストをかけています。
特にエージェント経由で採用する場合、採用成功時にはエージェントフィーも発生します。
そのため企業としては、できるだけ長く働いてくれる人材を採用したいと考えています。
また、入社後の教育にも時間とお金がかかります。
せっかく育てた社員が数か月で帰国してしまえば、企業側の負担は非常に大きくなります。
ですので面接では、タイが好きであること、タイで生活していきたいこと、簡単には帰国しないことを自然に伝えることが大切です。
もちろん無理に話を盛る必要はありません。
ただしタイへの関心や定住意欲が全く伝わらないと、企業側は不安を感じる可能性があります。
英語力・タイ語力はどこまで求められる?
語学力については、基本的に正直に答えるのが一番です。
エージェント経由で応募している場合は、事前に企業へ語学レベルが共有されていることも多いです。
また、面接中に英語で会話する場面があれば、実際のレベルはすぐに分かります。
私も二次面接では英語のみで質問を受けました。
そのため、無理に話せるふりをするメリットはほとんどありません。
一方で、現時点では話せなくても「今後習得する意思がある」という姿勢は非常に評価されやすいと思います。
特にタイ現地採用では、語学力そのものよりも学習意欲や適応力を重視する会社も少なくありません。
実際、私の周りにも入社後に英語やタイ語を勉強しながら活躍している方はたくさんいます。
前職の仕事内容はかなり詳しく聞かれる
タイ現地採用の面接では、前職でどのような仕事をしていたのかもかなり詳しく聞かれます。
私の場合、前職はカスタマーサポートでした。現在の会社もその経験をある程度評価してくださったようで、面接では前職の職務内容について細かく質問されました。
具体的には、どのようなポジションだったのか、日々どのような業務を担当していたのか、どんな顧客対応をしていたのかといった内容です。
ただし、私は営業職が未経験だったため、売上目標を達成するための戦略や、部下のマネジメント経験については聞かれませんでした。
逆に言えば、営業経験や管理職経験がある方であれば、その部分は必ず深掘りされると思います。
面接前には、自分の職務経歴をただ暗記するのではなく、「どの経験が応募先の仕事に活かせるのか」まで整理しておくと答えやすくなります。
タイ現地採用で特に重視されるスキル
タイ現地採用で重視されるスキルは、語学力や職務経験だけではないと思います。
私の経験上、特に重要だと感じるのは、環境への適応力、柔軟な考え方、そして相手を見下さない姿勢です。
海外で働いていると、日本ではあまり経験しないような理不尽な出来事や、自分ではどうにもできない問題が日常的に起こります。
そのたびに怒ったり、不満を言い続けたりするだけでは、仕事は前に進みません。
もちろん、すべてを我慢しろという意味ではありません。
ただ、自分で解決方法を探したり、周囲に助けを求めたりしながら、現実的に前に進める力はとても大切です。
また、タイ人スタッフ、日本人スタッフ、外国人スタッフなど、さまざまな考え方を持つ人と一緒に働くことになります。
自分のやり方だけが正しいと思いすぎると、仕事が進みにくくなることもあります。
特に現地採用の場合、私はタイ人も日本人も基本的には同じ職場で働く同僚だと考えています。
日本人だから偉い、タイ人だから下というような考え方を持っていると、信頼関係は築きにくいです。
面接でも、こうした価値観は話し方や態度に自然と出ると思います。
退職理由はかなり重要
転職面接で必ず聞かれると言ってもいいのが、退職理由です。
そしてこの質問は、想像以上に重要だと思います。
実際に転職活動後、現在の会社からも「前職の会社を悪く言いすぎる人は良くない」という話を聞きました。
もちろん、本当に大変な職場だった場合もあると思います。
ただ、面接の場で前職の不満だけを話してしまうと、「この人は入社後も何かあると会社のせいにするのではないか」と思われる可能性があります。
私の場合、前職の人間関係や業務内容に大きな不満はありませんでした。
ただ、数年間景気が悪かったことや、今後の将来を考えた時に違う職種にも挑戦してみたいと思ったことを伝えました。
個人的には、「前職に不満があったから辞めたい」というよりも、「前職には感謝しているが、新しい挑戦をしたい」という伝え方のほうが印象は良いと思います。
タイ現地採用の面接では、スキルだけでなく人柄や考え方もよく見られています。
退職理由を話す時こそ、他責にしすぎず、自分の意思で次のキャリアを選んでいることを伝えるのが大切です。
よくある英語質問と回答例
タイ現地採用の面接では、日本語で聞かれるような内容を英語で聞かれることもあります。
私の経験では、特別に難しい質問というよりも、基本的な面接質問を英語で答えられるかを見られている印象でした。
Tell me about yourself.
自己紹介をしてください、という定番の質問です。
長く話しすぎる必要はありませんが、これまでの経験、現在の仕事、応募職種に活かせるポイントを簡潔に伝えると良いと思います。
例文としては、次のような形です。
例: I have been working in Thailand for several years, mainly in customer support and sales. Through these experiences, I have learned how to communicate with Japanese and Thai colleagues, and I would like to use these skills in your company.
Why do you want to work in Thailand?
なぜタイで働きたいのか、という質問です。
ここでは、タイが好きという気持ちだけでなく、今後もタイを拠点にキャリアを築きたいという意思を伝えると良いと思います。
例: I have lived in Thailand for several years, and I feel comfortable working and living here. I would like to continue building my career in Thailand while contributing to a company that works closely with both Japanese and Thai people.
Why are you changing jobs?
転職理由を英語で聞かれることもあります。
この質問でも、前職の悪口にならないように注意が必要です。
例: I appreciate the experience I gained in my previous company, but I would like to take on a new challenge and develop my skills in a different role.
Can you work under pressure?
プレッシャーのある環境でも働けますか、という質問です。
営業職やカスタマーサポート職では、こうした質問をされる可能性があります。
例: Yes, I can. I understand that every job has pressure, especially when dealing with customers or targets. I try to stay calm, understand the situation, and take action step by step.
英語面接では、完璧な文法よりも、質問を理解して自分の考えを伝えられるかが大切だと思います。
聞き取れなかった場合は、無理に答えずに聞き返して問題ありません。
実際に私が聞かれて驚いた質問
一般的な面接質問もありますが、中にはかなり驚くような質問をされることもありました。
正直に言うと、面接を受けながら「仮に受かっても、ここでは働かないかもしれない」と思った会社もあります。
たとえば、以下のような質問です。
「週末は1日は必ずゴルフ、場合によっては土日両方ゴルフがありますが大丈夫ですか。」
「飲み会がとても多いですが、接待は可能ですか。」
「基本的には週4日以上外回りで、片道3時間以上かかる場所にも一人で運転して行ってもらいますが、それでも働けますか。」
「工場に日本人社長の名前はありますが、半年に1回、3日程度しか来ません。実質あなたが全業務を回す必要がありますが、自信はありますか。」
このような質問をされると、こちらも会社の雰囲気や働き方をかなり具体的にイメージできます。
もちろん、人によってはゴルフや接待が得意で、そうした環境を楽しめる方もいると思います。
ただ、私の場合は自分に合わないと感じました。
面接は企業が応募者を選ぶ場でもありますが、応募者が会社を見極める場でもあります。
違和感がある質問をされた時は、「自分に向いていない会社かもしれない」と考えることも大切です。
面接で逆質問すると印象が良い内容
面接の最後には、「何か質問はありますか」と聞かれることが多いです。
この時に何も聞かないよりは、いくつか質問を用意しておいたほうが良いと思います。
私が良いと思う逆質問は、入社後の働き方や会社の価値観に関するものです。
会社や面接官が大切にしている仕事観
たとえば、「御社で働くうえで、特に大切にされている考え方はありますか」と聞くと、会社の雰囲気を知るきっかけになります。
また、面接官自身の価値観を聞くことで、入社後にどのような姿勢が求められるのかも見えやすくなります。
応募職種のやりがいと大変なところ
「このポジションで働くうえで、やりがいを感じやすい点と、苦労しやすい点を教えていただけますか」という質問もおすすめです。
良い面だけでなく大変な面も聞くことで、入社後のギャップを減らしやすくなります。
入社後に期待されること
「入社後、最初の数か月で特に期待されることは何でしょうか」と聞くのも良いと思います。
この質問は、自分が入社後にどう貢献すればよいかを考えている印象にもつながります。
タイ現地採用の面接で落ちやすい人の特徴
では、タイ現地採用の面接で選ばれにくい人にはどのような特徴があるのでしょうか。
まず大きいのは、タイで働く理由が曖昧な人です。
「なんとなく海外で働きたい」「日本が嫌だから出たい」というだけでは、企業側からすると長く働いてくれるか不安になります。
次に、すぐに帰国しそうに見える人です。
タイの生活に慣れる前に辞めてしまいそう、少し大変なことがあると日本に戻りそう、という印象を与えると不利になりやすいと思います。
また、前職の悪口ばかり話す人も注意が必要です。
どれだけ正当な理由があっても、面接では伝え方を間違えると印象が悪くなります。
そして最後に、熱意が感じられない人です。
絶対にこの会社に入りたいという気持ちを過剰に演出する必要はありません。
ただ、応募先の会社や仕事内容に興味を持っていることは、きちんと伝えたほうが良いです。
それでも受からない場合は、単純に企業が求めている人材と合わなかっただけということもあります。
たとえば、ゴルフや接待が多い会社であれば、それを楽しめる人のほうが合うかもしれません。
自分に合わない会社に無理に入るよりも、縁がなかったと考えることも大切です。
まとめ|タイ現地採用の面接は「適応力」を見られている
タイ現地採用の面接では、語学力や職務経験ももちろん見られます。
しかし、それ以上に重要なのは、タイで長く働く意思があるか、異文化環境に適応できるか、周囲と協力して仕事を進められるかだと思います。
面接では、想定外の質問をされることもあります。
その場で完璧な回答をする必要はありませんが、誠実に、自分の言葉で答えることが大切です。
英語の質問が聞き取れなければ、聞き返して問題ありません。
分かったふりをして的外れな回答をするよりも、確認してから答えたほうが印象は良いと思います。
また、面接は会社から選ばれる場であると同時に、自分が会社を選ぶ場でもあります。
質問内容や面接官の雰囲気から、自分に合う会社かどうかを冷静に見極めることも大切です。
これからタイ現地採用の面接を受ける方は、よく聞かれる質問を準備しつつ、タイで働きたい理由や今後のキャリアについて自分の言葉で整理しておくと良いと思います。
この記事が、タイでの就職活動や転職活動を考えている方の参考になれば幸いです。
